於琴(おこと)
(生没年未詳)
土方歳三の許嫁と伝えられている。
戸塚村、
現在の東京都新宿区早稲田にあった佐藤家の遠縁にあたる三味線屋の一人娘。
土方歳三の、
盲目の長兄、為次郎が浄瑠璃・義太夫を趣味とすることから、
三味線の糸や撥を買い求めたのが縁で見初め、
佐藤彦五郎が足を運び縁談をまとめた。
しかし、
「大望の前に結婚で拘束されたくない」
という土方歳三の気持ちを汲んで、
婚約者という形でまとまる。
土方歳三も隊士募集のため、
帰郷した際などには於琴の家にも立ち寄っている。
土方歳三、戦死後の於琴の消息は分かっていない。
長唄は名取り、太棹(ふとざお)をこなし、
その美しい音色は盲人の耳をも魅了した美人であったという。